第1次審査 入賞作品

第2回ゆくはし国際公募彫刻展・ゆくはしビエンナーレ2019

「公共施設に設置するにふさわしい知識・知性を具現化した歴史上の人物」をテーマにした応募作品から厳選なる審査及び協議により、入賞作品5点が決定しました。
【応募総数】31点(うちグループでの応募1件)
【参加国】8ケ国:日本(20)、デンマーク(2)、中国(2)、アメリカ(2)、チェコ(2)、ルーマニア、ロシア、ウクライナ
※カッコ内は応募点数、外国在住の日本人2名
卑弥呼

人々をまとめ、導き、日々の暮らしを守ろうと決意するリーダーの姿を、銅鏡を左手に持って天を仰ぎ見る卑弥呼を表現しようとした。

【人物】卑弥呼
【作者】窪 信一朗(クボ シンイチロウ)
知恵の女神

知恵・芸術・工芸・戦略を司るアテナは学問の神であるフクロウを従えている。日本においても知名度が高く、フクロウは大変縁起の良い動物であり公共施設にふさわしいと考え制作した。

【人物】アテナ
【作者】髙野 眞吾(タカノ シンゴ)
Creator - 創造する者

神のごときミケランジェロ、大作”最後の審判”があるヴァチカンに始まり奈良までへのシルクロードにのって彼の逸話は、日本の玄関、行橋へとたどり着いただろう。

【人物】ミケランジェロ・ブオナローティ
【作者】青野 セクウォイア(アオノ セクウォイア)
Platon

私の提出した作品の構成概念は、手に巻物を持っているプラトンの立像である。その巻物は、世界で最初の哲学者の1人であるプラトンの考え方を書き記したテキストである。プラトンは彼の生きた時代の姿で表現されている。花崗岩の台、(ベース部分)は、プラトンの「哲学の道」を象徴している。

【人物】プラトン
【作者】Volodymyr Kochmar(フォロディミール コチュマル)
時代と対峙する千利休

信長と秀吉の茶頭であり、政治家、商人、プロデューサーでもあった戦国時代の知恵、千利休。彼の多彩さやバイタリティを骨太の骨格で侘びの芸術観を指先の表情と朝顔で、利休の覚悟を筋肉の躍動から生じる一瞬の緊張感で表わしている。手にした楽焼と胸元の空間により床の間における利休の創意を表現し、台座は赤瀬川原平の『楕円の茶室』へのオマージュである。

【人物】千利休
【作者】川村 洋平(カワムラ ヨウヘイ)

第1次審査 講評

後小路 雅弘 氏

九州大学大学院教授、九州藝術学会代表幹事、福岡アジア文化賞 芸術・文化賞選考委員会委員

 歴史上の人物で、具象の人物像という制約の中で、新味を出そうという工夫もみられたのは良かった。もっと独創的なもの、新鮮なものが出てくるのが理想なのだが。
 全体の応募数が減ったこともだが、海外、特にアジアからの応募が少ないことは問題で、今後の課題であると思われる。東アジア、東南アジアなどから応募があればもっとバラエティが豊かになると思う。
 今回の応募作の中に、いわば「キャラ化」ともいうべき傾向が散見された。今後ますますサブ・カルチャーの影響が強まっていくことは確実で、人物彫刻と「キャラクター」の区別があいまいになっていくと思う。
鈴木 重好 氏

エディター、元講談社インターナショナル(株)美術編集者

全体としては、創作意欲に富んだ作品が散見できた点と、その反面、技術面でその意欲にふさわしい表現を与えきれていない点が印象に残った。
最も多くの票を集めた2点は、創作意欲と技量が他作品よりバランスがとれていた。

田中 純 氏

ゆくはし国際公募彫刻展実行委員長、行橋市長

 第1次審査の5点選出は審査員の間で大きな異論はなく決まった。
アテナ、ミケランジェロ、プラトンといった、ヨーロッパ古典の偉人たちに対し、利休、卑弥呼といった日本史上の偉人が対抗する形となった。
 大賞選考時は逆に激論が交わされそうで興趣が尽きない。
田中 修二 氏

ゆくはし国際公募彫刻展アドバイザー、大分大学教授

前回に比べて応募作品数は減少したものの、見応えのある作品の多い審査であったと思う。それは個々の作家さんの表現力によるものであると同時に、その作品を見る私たちがモチーフとなった人物と向かい合うという時間をゆっくりともったからでもあろう。このこともまた具象彫刻の大きな魅力であり、と同時に彫刻表現のもつ可能性でもある。
とはいえ、次回以降さらに応募点数を増していく取り組みは欠かせない。公募団体や美術大学などとの連携もぜひ探っていくべきである。