第2次審査・大賞

第2回ゆくはし国際公募彫刻展・ゆくはしビエンナーレ2019

 この度、「公共施設に設置するにふさわしい知識・知性を具現化した歴史上の人物」をテーマにした入賞作品5点から厳選なる審査及び協議により、「大賞」が決定しました。
 また、市民のみなさまの投票により「市民賞」と行橋市内の小学5年生から中学3年生までの投票により「子ども大賞」が選ばれました。

大 賞

卑弥呼「卑弥呼」

窪 信一朗

人々をまとめ、導き、日々の暮らしを守ろうと決意するリーダーの姿を、銅鏡を左手に持って天を仰ぎ見る卑弥呼を表現しようとした。

窪 信一朗 氏

第2回ゆくはし国際公募彫刻展 大賞受賞者

この度は、大賞という栄誉ある賞を戴き、大変光栄に感じております。評価して戴きました審査員の先生方、そして「第2 回ゆくはし国際公募彫刻展 ゆくはしビエンナーレ2019」の運営に関係する方々に、この場を借りて御礼申し上げます。
「卑弥呼」を制作しようと思ったのは、行橋市に卑弥呼の伝説があるというシンプルな理由からでした。調べて見ると卑弥呼は、「鬼道」を使うとあるので、人並み外れた能力の持ち主であった事がうかがえます。しかし、一人の人間ですので、上に立つ者としての苦労や重圧そして孤独があったのではないかと想像します。この卑弥呼像は、少し上に視線を向け、天を仰ぎ見ています。これは、どんな事があっても、自分に与えられた役割や使命を果たそうと覚悟する姿を表現したものです。
今回、制作させて頂く事になりまして、私もまた一層気を引き締め、最高の仕事をする覚悟を決めた次第です。卑弥呼像が、多くの方々に共感を持って受け入れられる作品になるよう、尽力いたします。
最後に、この様な機会を与えて頂きました事に、重ねて感謝申し上げます。

市民賞・子ども大賞

アテナ「知恵の女神」

髙野 眞吾

知恵・芸術・工芸・戦略を司るアテナは学問の神であるフクロウを従えている。日本においても知名度が高く、フクロウは大変縁起の良い動物であり公共施設にふさわしいと考え制作した。

高野 眞吾 氏

第2回ゆくはし国際公募彫刻展 市民賞・子ども大賞受賞者

第2回ゆくはし国際公募彫刻展で「市民賞」並びに「子ども大賞」に選定していただき、誠にありがとうございます。市民の皆様の幅広い評価をいただいたということは彫刻を志す自分にとって大変励みになりました。彫刻という奥の深い世界と対峙しながら、彫刻とは何かを問い続ける中で、栄誉ある賞をいただけたことを大変嬉しく思います。

文化創造都市を目指された行橋市の素晴らしい取り組みに感謝しつつ、今回の賞を一つの足がかりとして今後も彫刻制作に邁進して行きたいと思います。

そしてまた次回の彫刻展にも挑戦したいと考えております。本当にありがとうございました。

第2次審査 講評

後小路 雅弘 氏

九州大学大学院教授、九州藝術学会代表幹事、福岡アジア文化賞 芸術・文化賞選考委員会委員

今回の審査は、審査員の意見、評価が割れ、なかなかまとまらなかった。それだけ粒ぞろいの作品がそろったということだろう。
1次審査でそれほど注目を集めなかった卑弥呼は、頭部とマケットで印象がかわり、そのシンプルな造形と豊かな表情で1次審査の写真にはない実物の魅力を示した。
ミケランジェロは、その内面を示す表情が魅力的だ。
「知恵の女神」は子どもたちの圧倒的な支持を得た。その無表情にも見える顔貌に今日的な感性があるのだろう。
第1回に比して応募者が減少したのは残念だが、この彫刻展を通じて、子どもたちがアートに親しむ契機となればなにより嬉しい。

鈴木 重好 氏

エディター、元講談社インターナショナル(株)美術編集者

今年は圧倒的にとび抜けた作品はなくいずれも甲乙つけ難かった。
最終審査で評が割れ、5点ある作品から3点を選出。その結果「将来性」という観点から「卑弥呼」を大賞とした。
最終の3点についての評は以下の通り。

卑弥呼
顔の表現に生命感があり、衣服の簡略化に無理がなく、全体としてのまとまりがよかった。

アテナ
全体的および細部の表現に最も熟練度を感じた。しかし一方それが“職人的”な調和に終始し、もうひとつ広がりに欠けたきらいがある。

ミケランジェロ
顔の出来具合とボディの出来に技量的なアンバランスがあり、全体の統一感に欠けた。

田中 純 氏

ゆくはし国際公募彫刻展実行委員長、行橋市長

今回が二度目となる「ゆくはし国際公募彫刻展」。
大賞の選考は激論となった。
書類審査となったお二方を除く三名の審査員の意見は全く相容れずといった趣。
最後に残った三点の大賞候補がそれぞれ表現の方法、スタイル、人物の時代背景など三者三様の体であり、議論は尽きなかった。
最終的に卑弥呼像が選出されたが、生き生きとして、カリスマ性に富んだ表現が素晴らしい作品であった。
願わくば、卑弥呼の具体的イメージの一典型として人々に定着していくことを期待したい。

田中 修二 氏

ゆくはし国際公募彫刻展アドバイザー、大分大学教授

それぞれの審査員のみなさんのご意見を聞くたびに1つひとつの作品について新しい見方が生まれてくる。そのような審査会になったと思います。
写真、映像による一次審査のときよりも、作品がよくなっている(見える)というご意見が、複数の作品についてあがったことも印象的でした。
その場で見るからこそ伝わるものが、必ずやあるということなのでしょうし、また作家さんの側の、審査員のみなさんに直接見ていただくことへの意気込みがそこに反映されているのもまちがいないでしょう。
審査は最終的に、とても僅差の作品が並び、1点を決めるのがむずかしいものでした。そのなかで作家のみなさんの将来性にかけていこうという方向性をもって、ご意見の集約が進められたことは、今後のビエンナーレのあり方を考えていくうえでも有意義であったと思います。